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二世帯住宅の新築を考え始めたものの、「費用は総額でいくら見ておけばいいのか」「完全同居型と完全分離型でどれくらい差が出るのか」と迷うことはありませんか。
結論からいえば、二世帯住宅の新築費用は総額で3,000万〜5,000万円台程度の事例が多く、タイプや坪数によって幅が生まれることがあります。
ただし、この金額には建物本体の工事費だけでなく、地盤改良や外構などの附帯工事費、登記やローン手数料といった諸費用も含めて考える必要があり、坪単価だけで総予算を判断すると資金計画がずれてしまうことがあります。
この記事では、完全同居型・部分共有型・完全分離型というタイプ別の費用差、坪数別の目安、建築費の考え方、費用を抑える工夫、利用できる可能性のある補助金や税制優遇までを順に紹介します。
これから二世帯住宅の新築を検討し始めた方にとって、予算のイメージをつかむ手がかりになるはずです。
タイプ別・坪数別の相場を知ることで、二世帯住宅の資金計画を具体的に立てやすくなります。
この記事でわかること
- 完全同居型・部分共有型・完全分離型それぞれの費用相場の違い
- 30坪・40坪・50坪など坪数別に見た本体工事費と総額の目安
- 建築費を抑えるために見直したい共有範囲や建物形状のポイント
- 利用を検討できる補助金・税制優遇の考え方と確認先
- 二世帯住宅の新築費用は総額3,000万〜5,000万円台が中心
- 費用差は完全同居型・部分共有型・完全分離型のタイプで決まる
- 完全分離型が高くなる理由は水回りと玄関の重複にある
- 坪数別では30坪2,000万円台・40坪3,000万円台・50坪4,000万円台が目安
- 建築費は「坪単価×延床面積」で概算でき、相場は60万〜100万円
- 本体工事費のほかに附帯工事費2割・諸費用1割を上乗せして計画する
- 3,000万円台の予算でも完全分離型は建てられる
- 二世帯住宅は補助金と税制優遇で数十万〜数百万円の負担を減らせる
- 費用を抑えるコツは共有範囲の見直しと形状のシンプル化にある
- 資金の負担割合は出資額どおりに登記して贈与税を避ける
- 二世帯住宅に強いハウスメーカーは実績と規格プランで選ぶ
- まとめ
二世帯住宅の新築費用は総額3,000万〜5,000万円台が中心

二世帯住宅を新築するときの費用は、総額でおよそ3,000万〜5,000万円台程度になることが多いとされています。
これは建物本体の工事費に加えて、附帯工事費や諸費用まで含めた金額になります。
同じ延床面積の一戸建てより費用がかさむ理由も含めて、順番に整理していきましょう。
建物本体だけなら2,500万〜4,500万円が目安になる
二世帯住宅の本体工事費だけで見ると2,500万〜4,500万円程度とされていることが多くます。
本体工事費とは、基礎や躯体、屋根、外壁、内装、キッチンや浴室などの設備一式を含む、建物そのものを建てるための費用のことです。
幅が大きいのは、水回りをどこまで共有するか、延床面積をどのくらい確保するかによって金額が変わってくるためです。
玄関やキッチンを2つ持つ形にすれば設備費用が増え、逆に共有部分を多くすれば費用は抑えやすくなります。
たとえば延床35坪前後で水回りを一部共有するプランなら、本体工事費は3,000万円台に収まる場合が多く見られます。
一方、玄関から水回りまですべて2セット用意するプランでは、同じ坪数でも4,000万円台に近づく傾向があります。
ここで注意したいのは、本体工事費だけを見て予算を組んでしまうと、実際の総額と数百万円単位のズレが生じる可能性があることです。
次の項目で触れる附帯工事費や諸費用を、必ず別枠で見込んでおく必要があります。
土地代を除いた総額は本体価格の1.3倍前後で見積もる
土地代を除いた総額は、本体工事費のおよそ1.3倍前後で見積もることで計画が立てやすくなる傾向があります。
内訳としては、本体工事費に加えて地盤改良や外構工事などの附帯工事費が約2割、登記や保険などの諸費用が約1割というイメージです。
たとえば本体工事費が3,500万円のプランであれば、附帯工事費と諸費用を合わせて総額は4,500万円前後になる計算です。
本体工事費が4,000万円台になると、総額が5,000万円を超えてくるケースも出てきます。
- 本体工事費3,000万円の場合 → 総額の目安は約3,900万円
- 本体工事費3,500万円の場合 → 総額の目安は約4,550万円
- 本体工事費4,000万円の場合 → 総額の目安は約5,200万円
この1.3倍という数字はあくまで全国的な目安であり、地盤の状態や既存建物の解体の有無、依頼先によって変わってきます。
見積もりを取る際は本体工事費だけでなく、総額での比較を意識しておくと、後から予算が足りなくなる事態を避けやすくなります。
一般的な一戸建てより500万〜1,500万円ほど高くなる
同じくらいの延床面積で比べると、二世帯住宅は一般的な一戸建てより500万〜1,500万円ほど費用が高くなる傾向があります。
これは、玄関やキッチン、浴室といった生活に必要な設備を2世帯分用意する場面が出てくるためです。
すべての設備をほぼ共有するタイプであれば、差額は500万円程度に収まることもあります。
反対に、玄関から水回りまで2セット備えるタイプになると、差額が1,000万円を超えて1,500万円近くになる場合も見られます。
延床40坪の一戸建てを建てる場合と、同じ40坪で設備を多く分けた二世帯住宅を建てる場合を比べると、後者のほうが設備費用の上乗せ分だけ総額が膨らむイメージです。
どのくらい設備を分けるかが費用差を左右するという点は覚えておくとよいでしょう。
この差額分は住宅の質を下げて生まれるものではなく、設備の数が増えることによる自然な増加分です。
予算を検討する段階では一戸建ての相場をそのまま当てはめず、二世帯分の設備費用を上乗せして考える習慣をつけておくと安心です。
費用差は完全同居型・部分共有型・完全分離型のタイプで決まる
二世帯住宅の総額に差が出る一番の理由は、玄関やキッチンなどの生活設備をどれだけ2セット持つかというタイプの違いにあります。
同じ延床面積でも、設備をひとつにまとめる完全同居型と、すべてを分ける完全分離型では総額が1,000万円以上変わることも珍しくありません。
まずは3つのタイプごとの費用イメージをつかんでおきましょう。
完全同居型は1,800万〜3,200万円ともっとも安く抑えられる
完全同居型は、玄関・キッチン・浴室・トイレなどをすべて共有する間取りで、総額は1,800万〜3,200万円程度が目安になります。
設備をひとつしか持たないため、一般的な一戸建てとほぼ同じ感覚で建てられる点が特徴です。
部屋数を増やして親世帯・子世帯それぞれの個室を確保しても、水回りが共通であれば設備費用は膨らみにくくなります。
生活音や生活時間帯の違いが気になりにくい親子であれば、費用面でのメリットは大きいタイプといえます。
ただし共有部分が多いぶん、日々の生活リズムや家事の分担についてはあらかじめ話し合っておく必要があります。
費用を抑えられる反面、プライバシーの確保は他のタイプより難しくなる点は押さえておきたいところです。
部分共有型は共有範囲しだいで2,400万〜4,500万円に収まる
部分共有型は、玄関だけを共有して水回りは世帯ごとに分ける、あるいは玄関とキッチンは共有し浴室だけ分けるなど、共有する設備の組み合わせによって総額が変わるタイプです。
総額はおおむね2,400万〜4,500万円程度と幅があります。
次の表は、共有範囲の組み合わせによる費用感の違いをまとめたものです。
| 共有する設備 | 分ける設備 | 総額の目安 |
|---|---|---|
| 玄関・浴室 | キッチン・トイレ | 2,400万〜3,200万円程度 |
| 玄関のみ | キッチン・浴室・トイレ | 3,200万〜4,500万円程度 |
このようにどの設備を共有に残すかで総額が大きく変わるのが部分共有型の特徴です。
親世帯と子世帯の生活パターンに合わせて、共有してもストレスの少ない部分から絞り込んでいくとよいでしょう。
間取りの自由度が高いぶん、打ち合わせの段階で希望がまとまらず、共有範囲が結局あいまいなまま進んでしまうケースも見られます。
どの設備を分けるかは早めに世帯間で合意しておくと、後々の設計変更を避けやすくなります。
完全分離型は3,000万〜7,000万円と幅が大きい
完全分離型は玄関からキッチン、浴室、トイレまですべてを2セット備えるタイプで、総額は3,000万〜7,000万円程度程度とされており、3タイプの中でもっとも幅がある傾向にあります。
延床面積や設備グレード、上下分離か左右分離かによっても総額が変わってきます。
上下分離は1つの建物を2階建て・3階建てにして階を分ける形式で、左右分離は同じ階で壁を隔てて分ける形式です。
どちらも建物としては1棟ですが、生活動線が世帯ごとに独立するため、将来的に片方の世帯だけで暮らす場合にも対応しやすくなります。
一方で、設備をすべて2セット持つ分だけ本体工事費が上がりやすく、「一戸建て2軒分に近い金額になる」と想定して予算を組むと、実際の見積もりで予算オーバーに気づくケースもあります。
完全分離型を検討する際は、延床面積と設備グレードの両方を早い段階でイメージしておくことが欠かせません。
プライバシーを重視したい親子や、将来的に賃貸や売却も視野に入れたい場合には検討しやすいタイプですが、その分費用は他の2タイプより高めに見積もっておく必要があります。
設備を2つ持つほど本体価格が上がる仕組みを押さえる
3タイプの費用差は、突き詰めると設備をいくつ重複して持つかという一点に集約されます。
キッチン・浴室・トイレ・玄関はそれぞれ配管や配線、内装制限に対応した工事が必要なため、1セット増えるごとに本体工事費が段階的に積み上がっていく仕組みです。
次のリストは、共有型から分離型に近づくにつれて増える主な設備項目の目安です。
- 完全同居型:キッチン1・浴室1・トイレ1〜2・玄関1
- 部分共有型:一部の設備のみ2セット化(組み合わせにより変動)
- 完全分離型:キッチン2・浴室2・トイレ2・玄関2
設備を増やすこと自体は住宅の質を落とすものではなく、家族構成やライフスタイルに合わせた自然な選択です。
ただし、増設したキッチンや給湯設備は建築基準法の内装制限や換気設備の設置が前提となり、ガス・給排水工事は有資格者による施工が必要になる点は変わりません。
タイプを決める際は、費用だけでなく「どこまで生活を分けたいか」という家族の希望を軸に考えると、無理のない設備配分にたどり着きやすくなります。
次の項目からは、この設備の重複が具体的にどれくらいの金額差につながるのかを詳しく見ていきます。
完全分離型が高くなる理由は水回りと玄関の重複にある

完全分離型の本体工事費が上がる一番の理由は、キッチン・浴室・洗面・トイレ・玄関という生活の要となる設備を丸ごと2セット用意する必要がある点にあります。
単に部屋数が増えるだけでなく、配管や配線、給排水の経路までもう1系統分必要になるため、坪数が同じでも金額差が生まれやすくなります。
ここでは、どの部分にどれくらいの費用がかかるのかを具体的に見ていきます。
キッチン・浴室・洗面をもう1セット増やすと300万〜500万円上がる
水回り設備は住宅設備の中でも単価が高く、キッチン・浴室・洗面をまとめてもう1組増やすと、本体工事費として300万〜500万円程度の上乗せになる場合があります。
設備そのものの価格に加えて、給排水管や換気ダクトを新たに引き回す工事費もかかるためです。
- システムキッチン一式:設備費と配管工事を合わせて数十万〜100万円台後半
- ユニットバス一式:防水工事や換気設備を含めて100万円前後〜
- 洗面化粧台:配管分岐や電源工事を含めて数十万円程度
グレードを標準的な仕様にそろえるか、ワンランク上のものを選ぶかによっても総額は変わります。
水回りをもう1セット増やす判断が、完全分離型の費用を押し上げる最大の要因といえるでしょう。
なお、増設した給湯設備やコンロまわりは建築基準法の内装制限や換気設備の設置が前提となり、ガス・給排水工事は有資格者による施工が必要です。
この部分を省略する形でのコスト調整はできません。
玄関を2つにすると100万〜200万円の追加になる
玄関を2つ設ける場合、本体工事費に100万〜200万円程度が追加されるのが一般的な目安です。
玄関ドアや土間、下駄箱といった造作に加え、基礎や外壁の開口部を増やす工事も発生するためです。
玄関はキッチンや浴室ほど単価は高くないものの、建物の外観バランスや動線にも関わる部分のため、位置を決める段階で家族間の話し合いが必要になります。
並列に2つ並べるか、正面と側面に分けるかによって外構工事の内容も変わってきます。
玄関を分けることは、世帯ごとの独立性を高める工夫としてよく選ばれる方法です。
ただし見た目のデザイン性を重視しすぎると、想定より費用がかさむケースもあるため、間取り図の段階で担当者に確認しておくと安心です。
上下分離は階段や配管ルートの追加工事費がかかる
上下階で世帯を分ける形式では、各世帯専用の階段や、上下階をまたぐ配管ルートを新たに設計する必要があり、その分の工事費が加算されます。
1階と2階でキッチンや浴室の位置がずれていると、配管を長く引き回すことになり、費用がさらに上がる要因になります。
また、上下階の音の伝わりやすさを抑えるための遮音対策を取り入れる場合、床や天井の仕様を見直す工事費も別途必要になることがあります。
生活時間帯が異なる二世帯では、こうした配慮が暮らしやすさに直結します。
上下階で水回りの位置をそろえないまま設計を進めると、配管工事費が想定以上に膨らみやすいため、間取りの初期段階で位置をすり合わせておくことが大切です。
左右で分ける縦割りタイプに比べ、上下分離は構造上の制約が多い点も押さえておきたいポイントです。
電気・ガス・水道メーターの分離費用も見込んでおく
完全分離型では、光熱費を世帯ごとに管理しやすくするため、電気・ガス・水道のメーターをそれぞれ2つ設置するケースが多く見られます。
この分離工事にも一定の費用がかかり、引き込み工事や配管・配線の追加が必要になります。
メーターを分けることで、それぞれの世帯が使った分だけを支払う仕組みにしやすく、生活費の精算をめぐる負担感を減らせるという利点があります。
一方で、初期費用としては数万円〜数十万円程度の追加が発生する場合があるため、附帯工事費の一部として見込んでおくと安心です。
電気・ガス・水道会社への申し込みや引き込み位置の確認は、施工会社と連携しながら進めるのが一般的な流れです。
地域や引き込み経路によって費用が変わるため、契約前に見積もりの内訳を確認しておくとよいでしょう。
坪数別では30坪2,000万円台・40坪3,000万円台・50坪4,000万円台が目安
二世帯住宅の総額は、延床面積の坪数がわかればおおよその目安をつかみやすくなる傾向があります。
30坪前後なら2,000万円台、40坪前後なら3,000万円台、50坪前後なら4,000万円台というように、坪数が増えるほど総額も段階的に上がっていきます。
ただしタイプ(完全同居型・部分共有型・完全分離型)によって同じ坪数でも金額差が出るため、坪数だけでなく間取りの方向性も合わせて考えることが大切です。
| 延床面積の目安 | 選びやすいタイプ | 総額の目安 |
|---|---|---|
| 30〜35坪 | 完全同居型・部分共有型 | 2,000万円台〜3,000万円台前半 |
| 38〜45坪 | 部分共有型・完全分離型 | 3,000万円台〜4,000万円台 |
| 50坪以上 | 完全分離型が中心 | 4,000万円台〜5,000万円台以上 |
この表はあくまで全国的な相場をもとにした目安であり、地域や構造、依頼先によって前後します。
最新の情報は施工会社の見積もりや公式サイトで確認しておくと安心です。
30〜35坪は完全同居型か部分共有型が現実的な選択になる
30〜35坪という広さは、二世帯とはいえ延床面積にゆとりが少ないため、水回りや玄関を共有する完全同居型や部分共有型が現実的な選択になります。
キッチンや浴室を1セットにまとめることで、限られた面積でも各世帯の居室や収納をしっかり確保しやすくなるのが理由です。
例えば1階に共有のLDKと水回りを配置し、2階に親世帯・子世帯それぞれの個室を振り分けるプランは、30坪台でもよく見られる間取りです。
生活時間帯が近い家族や、日常的に食事や家事を分担したい家族に向いています。
一方で、この坪数で完全分離型を選ぼうとすると、設備を2セット確保する分だけ1住戸あたりの居住スペースが狭くなりやすい点には注意が必要です。
坪数と間取りの希望が合っていないと、後から部屋数や収納が足りないと感じる可能性があるため、プラン段階でしっかりすり合わせておきましょう。
38〜45坪なら完全分離型も検討できる広さになる
38〜45坪まで延床面積が広がると、玄関・キッチン・浴室を2セット備える完全分離型も選択肢に入ってきます。
上下階で世帯を分ける横割りタイプであれば、1階と2階にそれぞれ独立した生活空間を無理なく配置しやすくなります。
この坪数帯では、各世帯にコンパクトなLDKと水回りを確保しつつ、寝室や収納を必要最小限にまとめる工夫が求められます。
設備が重複する分、同じ坪数の完全同居型と比べると本体工事費は高めになりやすい点は押さえておきたいところです。
左右で世帯を分ける縦割りタイプにする場合は、外壁面積が増えやすく、上下分離よりもやや工事費がかさむ傾向があります。
間取りの自由度と費用のバランスを見ながら、どちらの分け方が家族の暮らし方に合うか検討するとよいでしょう。
50坪以上は大型化で坪単価が下がる一方、総額は5,000万円を超える
50坪を超えると、建物が大きくなることで基礎や屋根など共通部分のコストが分散され、坪単価そのものはやや下がる傾向があります。
とはいえ延床面積が大きい分、総額としては5,000万円台に届くケースが珍しくありません。
この規模になると、各世帯にLDK・浴室・玄関を独立して持たせる完全分離型を、余裕のある広さで実現しやすくなります。
親世帯・子世帯それぞれに趣味室や書斎、来客用スペースを設けるといった付加価値のある間取りも検討しやすくなるでしょう。
ただし坪数が増えるほど外構工事や地盤改良などの附帯工事費も比例して大きくなりやすいため、坪単価の低下だけを見て予算を楽観視しないことが大切です。
総額ベースでの資金計画を早めに立てておくと、後々の見積もり調整がスムーズになります。
二世帯の人数から必要な延床面積を先に決める
坪数から総額を逆算する前に、まずは同居する人数から必要な延床面積を先に決めておくと、無駄のない資金計画につながります。
一般的な目安として、1人あたり6〜8坪程度の居住スペースを想定すると、家族構成に合わせた延床面積を組み立てやすくなります。
- 親世帯2人+子世帯4人(合計6人)の場合:目安36〜48坪程度
- 親世帯2人+子世帯3人(合計5人)の場合:目安30〜40坪程度
- 親世帯1人+子世帯4人(合計5人)の場合:目安30〜40坪程度
この目安に、共有部分をどこまで持つかというタイプの選択を掛け合わせることで、必要な坪数と総額のイメージがより具体的になります。
人数が同じでも完全同居型と完全分離型では必要な設備数が変わるため、坪数の見積もりにも差が出る点は意識しておきたいところです。
将来的に子どもの独立や親世帯の生活スタイルの変化も想定しながら、少し余裕を持たせた延床面積を検討しておくと、住み始めてからの手狭感を防ぎやすくなります。
人数と生活スタイルの両面から坪数を決めていく進め方が、無理のない資金計画につながるでしょう。
建築費は「坪単価×延床面積」で概算でき、相場は60万〜100万円

建物の本体工事費は、坪単価に延床面積を掛け合わせることでおおまかな金額をつかめます。
二世帯住宅の坪単価は依頼先によって幅があり、全国的な目安としては坪60万〜100万円程度で語られることが多いようです。
ここでの数字はあくまで本体工事費の目安であり、附帯工事費や諸費用は別枠で考える必要がある点は前のセクションまでの内容と共通しています。
ローコスト系は坪50万〜70万円、大手ハウスメーカーは坪80万〜100万円
坪単価は依頼先の種類によって差が出やすく、価格を抑えた企画型の住宅を扱う会社では坪50万〜70万円程度が目安とされています。
一方、知名度のある大手ハウスメーカーでは坪80万〜100万円程度になるケースが多いようです。
同じ延床面積でも依頼先によって本体工事費に数百万円の差が出ることも珍しくありません。
この差は、使う建材のグレードや標準仕様に含まれる設備の充実度、保証やアフターサービスの手厚さなどが影響していると考えられます。
安さだけを基準に選ぶと、二世帯住宅で重要になる遮音性や間取りの自由度が思うように確保できないこともあるため注意したいところです。
- ローコスト系工務店・企画住宅:坪50万〜70万円程度
- 中堅ハウスメーカー:坪70万〜85万円程度
- 大手ハウスメーカー:坪80万〜100万円程度
依頼先を検討する際は、坪単価の数字だけでなく、二世帯住宅を手がけた実績があるかどうかも合わせて確認しておくと安心感が増すでしょう。
設備が重複する二世帯住宅は坪単価が5万〜10万円上乗せされる
二世帯住宅は、一般的な一戸建てに比べて坪単価が5万〜10万円程度高くなる傾向があります。
これは、キッチンや浴室、トイレといった水回り設備を2セット設けるタイプほど、1坪あたりの工事内容が濃くなるためです。
完全同居型のように設備を共有する部分が多い間取りでは、この上乗せ幅は小さめに収まる傾向があります。
反対に、完全分離型のように玄関や水回りをそれぞれの世帯で持つ間取りでは、坪単価が高めに出やすいと考えておくとよさそうです。
同じ延床面積で比較しても、タイプによって坪単価そのものが変わってくる点は見積もりを見るときに意識しておきたいポイントです。
坪単価の上乗せ分は、設備の重複だけでなく、配管や配線の分岐工事が増えることも関係しています。
目に見えにくい部分の工事量が増えることで、坪単価に反映されていくというイメージを持っておくと理解しやすいでしょう。
坪単価に含まれる工事範囲は会社ごとに違うので確認する
坪単価を比較するときにもっとも注意したいのは、会社によって坪単価に含まれる工事範囲が異なる可能性があるという点です。
ある会社では外構工事や照明・カーテンまで含めた総額に近い数字を坪単価として示している一方、別の会社では建物本体のみの数字で坪単価を出している場合もあります。
そのため、坪単価の数字だけを並べて安い・高いと判断すると、実際の総額で見たときに印象が逆転することも起こり得ます。
見積もりを取る際は、坪単価に地盤改良や給排水の引き込み工事、照明・カーテンなどの装備品が含まれているかどうかを一つひとつ確認することが欠かせません。
複数の会社を比較する場合は、坪単価の内訳をそろえたうえで比較することが失敗を防ぐコツといえます。
同じ延床面積・同じ工事範囲の条件をそろえてもらい、そのうえで金額を並べてみると、依頼先ごとの実質的な価格差が見えやすくなるでしょう。
坪単価はあくまで概算をつかむための目安であり、実際の金額は間取りや設備の選び方、土地の条件によっても変わってきます。
気になる会社が見つかったら、坪単価の内訳や工事範囲について、最新の情報を公式サイトや店頭で確認しておくと安心です。
本体工事費のほかに附帯工事費2割・諸費用1割を上乗せして計画する
二世帯住宅の資金計画では、本体工事費だけでなく附帯工事費と諸費用を合わせて用意する必要があります。
本体工事費は建物そのものの金額ですが、実際にはそのほかにも地盤や外構、登記や保険といった費用がかかってきます。
目安として本体工事費の2割程度を附帯工事費に、1割程度を諸費用に見込んでおくと、総額のイメージがつかみやすくなります。
地盤改良・外構・給排水引き込みなどの附帯工事費を見込む
附帯工事費とは、建物本体以外にかかる工事の費用をまとめて指す言葉です。
土地の状態や周辺環境によって内容が変わるため、同じ延床面積でも金額に差が出やすい部分といえます。
代表的な項目を挙げると、地盤の強度を確認・補強する地盤改良工事、駐車場やフェンス、庭などをつくる外構工事、水道や下水道を敷地内に引き込む給排水工事などがあります。
二世帯住宅は駐車場を2台分確保することが多く、外構費用がふくらみやすい点も押さえておきたいところです。
| 附帯工事の項目 | 内容の目安 |
|---|---|
| 地盤改良工事 | 地盤の強さに応じて実施 |
| 外構工事 | 駐車場・門・庭・フェンスなど |
| 給排水引き込み工事 | 水道・下水道管の敷地内引き込み |
| 屋外電気工事 | 屋外コンセント・照明の配線 |
これらの工事は土地ごとに条件が異なるため、契約前の見積もりの段階でどこまで含まれているかを一つひとつ確認しておくと安心です。
附帯工事費を見落とすと、想定より数百万円単位で予算が膨らむ可能性があるため、早い段階での確認が重要です。
登記費用・ローン手数料・火災保険などの諸費用を用意する
諸費用は、工事そのものにはかからないものの、住宅を取得する過程で必要になる費用の総称です。
金額としては本体工事費の1割前後が目安とされていますが、借入額や保険の内容によって上下します。
- 登記費用(表示登記・保存登記・抵当権設定登記など)
- 住宅ローンの事務手数料・保証料
- 火災保険・地震保険の保険料
- 印紙税などの各種税金
二世帯住宅では持分登記を親子でそれぞれ行う場合があり、登記の件数が増えるぶん費用も増える傾向があります。
契約書や住宅ローンの書類には印紙税がかかる場面もあるため、細かな出費も積み重なることを念頭に置いておきたいところです。
既存住宅の解体や仮住まい費用が必要なケースもある
親世帯がすでに住んでいる土地に建て替える場合は、既存の建物を解体する費用が別途必要になります。
解体費用は建物の構造や大きさ、立地条件によって差があり、狭い道路に面している場合は重機が入りにくく費用が上がることもあります。
また、工事期間中に住む場所がなくなるため、賃貸住宅や仮住まいの家賃、引っ越しを2回行う費用も見込んでおく必要があります。
工期は数か月にわたることが多く、その間の生活費として一定の資金を確保しておくと落ち着いて計画を進めやすくなります。
解体費用や仮住まい費用を資金計画に入れ忘れると、着工直前になって資金不足に気づく可能性があるケースもあります。
建て替えを検討している場合は、早めに解体業者や仮住まい先の情報を集めておくとよいでしょう。
自己資金は総額の1〜2割を目安に確保しておく
住宅ローンをすべて借り入れでまかなうのではなく、自己資金を総額の1〜2割程度用意しておくと、資金計画に余裕が生まれやすくなります。
自己資金があることで、借入額を抑えられるだけでなく、審査の面でも安定した印象につながりやすくなります。
自己資金には、預貯金だけでなく、住宅取得等資金の贈与を活用する方法もあります。
ただし贈与を受ける場合は、出資額と登記の持分をそろえておくことが将来のトラブルを避けるうえで大切です。
二世帯住宅は親子で費用を分担するケースが多いため、それぞれの世帯がどの程度自己資金を出せるのかを早めに話し合っておくと、資金計画全体がまとまりやすくなります。
総額だけでなく、附帯工事費・諸費用・自己資金の内訳まで含めて考えることが、無理のない家づくりの土台になります。
3,000万円台の予算でも完全分離型は建てられる

予算帯によって現実的な間取りタイプは変わりますが、延床面積や設備グレードを工夫すれば3,000万円台でも完全分離型を建てられます。
総額の目安はこれまでのセクションで触れたとおりですが、ここでは予算ごとにどのタイプ・広さが選びやすいかを具体的に見ていきます。
同じ「二世帯住宅」でも予算によって間取りの自由度が大きく変わる点を押さえておくと、要望の優先順位をつけやすくなります。
2,000万円台は完全同居型で水回りを共有する間取りになる
総額2,000万円台の予算では、キッチンや浴室を親世帯・子世帯で共有する完全同居型が中心になります。
設備を1セットにまとめることで本体工事費を抑えられるため、限られた予算のなかでも延床面積をある程度確保しやすくなります。
個室は世帯ごとに分けつつ、リビングや水回りは共用にするプランが多く見られます。
生活リズムが近い親子であれば、共用部分が多くても暮らしやすさに大きな支障は出にくいとされています。
ただし、生活時間帯が大きく違う場合や、プライバシーを重視したい場合には、共有範囲の広さがストレスにつながることもあります。
予算だけでなく、日々の生活スタイルもあわせて検討する必要があります。
3,000万円台は延床38坪前後の上下分離プランが現実的
3,000万円台で完全分離型を選ぶなら、延床38坪前後の上下分離プランが現実的な落としどころになります。
1階を親世帯、2階を子世帯とする横割りの形にすることで、左右分離に比べて外壁面積や基礎工事費を抑えやすいためです。
上下分離では玄関を2つ設ける場合と、1つの玄関から内部で分ける場合があり、玄関の数によっても本体工事費は変わってきます。
玄関を共有すればコストを抑えられますが、生活動線が交差しやすくなる点は考慮しておきたいところです。
キッチン・浴室・トイレはそれぞれの階に用意しつつ、洗面や収納などのグレードを標準仕様にとどめることで、総額を3,000万円台に収める工夫がしやすくなります。
延床面積と設備グレードのバランスを取ることが、この価格帯の完全分離型を実現するポイントです。
4,000万円台なら左右分離や各世帯にLDKと浴室を確保できる
予算が4,000万円台になると、左右で建物を分ける縦割りの完全分離型も選びやすくなります。
各世帯にLDKと浴室をしっかり確保しながら、延床面積も40坪台まで広げやすいことが特徴です。
左右分離は上下分離に比べて生活音が伝わりにくいとされ、世帯ごとの生活時間が異なる家庭に向いています。
一方で外壁面積が増えやすく、同じ延床面積でも上下分離よりコストがかかる場合があるため、間取りの形状にも注意が必要です。
各世帯に十分な広さのLDKを設けられる分、来客時や将来の使い方の変化にも対応しやすくなります。
子世帯の人数が増える見込みがある場合など、長い目で見た住まい方を意識して間取りを決めることが大切です。
| 総額の目安 | 選びやすいタイプ | 延床面積の目安 |
|---|---|---|
| 2,000万円台 | 完全同居型 | 30坪前後 |
| 3,000万円台 | 部分共有型・上下分離の完全分離型 | 35〜38坪前後 |
| 4,000万円台 | 左右分離の完全分離型 | 40〜45坪前後 |
延床面積を抑えて設備グレードを調整すれば予算内に収まる
完全分離型を希望していても予算が限られる場合は、延床面積を少し抑えて設備グレードを見直すことで、総額を予算内に収めやすくなります。
水回りの数を減らすのではなく、面積や仕様の調整で費用を合わせる考え方です。
たとえば個室の広さを標準的なサイズにとどめたり、収納スペースを必要最小限にしたりするだけでも、本体工事費に一定の差が出てきます。
共用のLDKや玄関まわりにはこだわりつつ、個室部分は仕様をシンプルにするといった配分の工夫が有効です。
延床面積を削りすぎると、将来の荷物の増加や来客時の使い勝手に影響が出ることがあるため、削減する場所は慎重に選ぶ必要があります。
生活に欠かせない収納や動線までそぎ落とすと、住み始めてから不便さを感じやすくなります。
予算と希望する暮らし方のバランスを取りながら、どこを削り、どこにお金をかけるかを早い段階で整理しておくことが、無理のない資金計画につながります。
次のセクションでは、こうした費用負担を軽くする補助金や税制優遇について見ていきます。
二世帯住宅は補助金と税制優遇で数十万〜数百万円の負担を減らせる
二世帯住宅の建築費用は、補助金や税制優遇を組み合わせることで実質的な負担を数十万〜数百万円ほど軽くできる場合があります。
省エネ性能に応じた補助金、住宅ローン控除、区分登記による税の軽減、自治体独自の同居・近居支援など、活用できる制度は一つではありません。
それぞれ要件や金額が異なるため、まずは全体像をつかんでおくことが大切です。
子育てグリーン住宅支援事業など省エネ性能に応じた補助金を使う
国の住宅関連の補助制度では、省エネ性能の高い住宅を新築する際に費用の一部を補助する仕組みが用意されてきました。
子育てグリーン住宅支援事業のような制度は、その代表例として挙げられます。
省エネ性能を高めるほど補助額が上乗せされやすいのが特徴です。
二世帯住宅の場合、延床面積が一般的な一戸建てより広くなりやすいため、断熱性能や省エネ設備への投資が結果的に補助額の面でも生きてくることがあります。
ただし対象となる住宅の性能基準や申請時期、予算の上限は年度ごとに変わります。
申請は着工前の手続きが必要になるケースが多く、着工後では対象外になることもあります。
ハウスメーカーや工務店が制度に詳しい場合も多いので、契約前の打ち合わせ段階で対象になりそうか確認しておくと安心です。
制度名や補助額、募集期間は変動するため、最新の情報は公式サイトや自治体窓口でご確認ください。
長期優良住宅・ZEH仕様は住宅ローン控除の借入限度額が増える
住宅ローン控除は、年末のローン残高に応じて所得税などから一定額が差し引かれる仕組みです。
長期優良住宅やZEH仕様として認定を受けると、控除の計算対象となる借入限度額が一般的な住宅より高く設定される傾向があります。
二世帯住宅は借入額そのものが大きくなりやすいため、借入限度額が広がる意味は小さくありません。
特に完全分離型のように延床面積が広く総額も上がりやすいタイプでは、この差が総合的な負担軽減につながりやすくなります。
ただし住宅ローン控除の適用には、床面積や所得などの要件があり、区分登記や共有登記といった名義の形によって扱いが変わることもあります。
名義や登記方法を先に決めてしまい、後から控除の要件に合わないと気づく可能性があるため、こうした事態は避けることが大切です。
長期優良住宅・ZEH仕様の認定基準や控除額、借入限度額は制度改正のたびに見直されています。
契約前に金融機関や住宅会社の担当者へ確認しておくことが欠かせません。
区分登記すれば不動産取得税・固定資産税の軽減を2戸分受けられる
二世帯住宅は建物の登記方法によって、税金の軽減の受け方が変わります。
建物を親世帯・子世帯それぞれの独立した住戸として区分登記すると、不動産取得税や固定資産税の軽減措置を2戸分として受けられる場合があります。
一方、区分登記をせずに単独登記や共有登記でまとめた場合は、軽減措置が1戸分の扱いになることがあり、結果として税負担に差が出ることがあります。
登記の仕方一つで数十万円単位の差が生まれることもあるため、建築前に検討しておきたいポイントです。
区分登記には、それぞれの住戸が独立した生活空間として認められる構造(玄関・キッチン・浴室などの独立性)が求められます。
完全分離型であれば区分登記がしやすい一方、部分共有型や完全同居型では条件を満たしにくいこともあります。
税の軽減額や適用要件は自治体や年度によって異なります。
区分登記を検討する場合は、設計段階で司法書士や税理士に相談し、要件を満たす間取りになっているか確認しておくと安心です。
自治体独自の三世代同居・近居支援制度も併せて調べる
国の制度に加えて、市区町村が独自に用意している三世代同居・近居を後押しする支援制度もあります。
新築やリフォームの費用の一部を助成するものや、引っ越し費用を補助するものなど、内容はさまざまです。
こうした制度は次のような切り口で整理しておくと調べやすくなります。
- 建築予定地の市区町村が三世代同居・近居向けの助成金を設けているか
- 対象となる世帯構成(親世帯と子世帯の続柄・年齢など)の条件
- 申請時期や予算枠、他の補助金との併用可否
自治体独自の制度は国の制度ほど知られていないことも多く、申請を忘れると受け取れないまま終わってしまうこともあります。
建築予定地の役所の窓口やホームページで早めに情報を集めておくことが、費用面での取りこぼしを防ぐことにつながります。
補助金・税制優遇はいずれも年度や自治体によって要件・金額・受付期間が変わります。
実際に利用できる制度や金額については、最新の公募要領や自治体窓口、税理士などの専門家に確認することが欠かせません。
費用を抑えるコツは共有範囲の見直しと形状のシンプル化にある

二世帯住宅の費用を抑えたいときは、共有範囲の見直しと建物形状のシンプル化から手をつけると効果が出やすくなります。
設備を減らす・形を整えるといった工夫は、耐震性能や断熱性能に手をつけずに実施できる点が大きな利点です。
ここでは具体的な見直しポイントを4つの角度から紹介します。
ミニキッチンやシャワールームで第2水回りのコストを下げる
完全分離型や部分共有型で水回りを2セット用意する場合、片方をフルサイズではなくコンパクトな設備にする方法があります。
たとえば親世帯側をミニキッチンとシャワールームにすると、フル装備のキッチン・浴室を2つ設けるよりも本体工事費を抑えやすくなります。
ミニキッチンは調理スペースがコンパクトになる分、日常の食事づくりに使う分には十分な機能を持たせつつ費用を圧縮できる選択肢です。
シャワールームも浴槽を省く分、給排水配管や防水工事の範囲が狭くなり工事費が下がる傾向にあります。
ただし、ガスコンロや給湯器を新たに設ける場合は換気設備の設置と有資格者による施工が前提になります。
換気を省いたり資格のない業者に依頼したりする方法は、一酸化炭素中毒や漏水事故につながるおそれがあるため、これらの方法は避けることが重要です。
安全に関わる部分を削らずに、設備の規模を調整することが費用を抑える基本の考え方です。
総二階の四角い形にして外壁面積と基礎工事費を減らす
建物の形状は、費用に直結する要素のひとつです。
1階と2階の床面積がほぼ同じになる総二階建てで、なおかつ凹凸の少ない四角い形にすると、外壁の面積や基礎の長さが抑えられ、材料費と施工の手間が減りやすくなります。
逆に、1階だけ張り出したり、L字型・コの字型のように複雑な形にしたりすると、外壁や屋根の面積が増えるほか、基礎工事や雨仕舞いの工程も複雑になり、費用がかさむ要因になります。
二世帯住宅は各世帯の生活動線を確保しようとして形が複雑になりやすいため、意識してシンプルな形状にまとめる工夫が求められます。
建物の形をシンプルにするだけで、坪単価を大きく変えずに総額を抑えられる点は、間取り検討の初期段階で押さえておきたいポイントです。
デザイン性と費用のバランスは、設計担当者と早めに相談しておくと調整がしやすくなります。
設備グレードは共用部に費用をかけ、個室部分は標準仕様にする
キッチンや浴室などのグレードをすべて高くすると、二世帯分の設備費用が積み重なり総額が膨らみやすくなります。
そこで、家族が長く過ごすリビングや共用のキッチンには少し費用をかけ、個室や収納など目立ちにくい部分は標準仕様でまとめる方法が考えられます。
たとえば床材や建具のグレードを個室部分では標準仕様にとどめ、浮いた予算を共用のキッチンや浴室の設備に回すといった配分です。
こうしたメリハリのある予算配分は、暮らしの満足度を保ちながら総額を調整する手段として活用できます。
設備のグレード調整はあくまで内装や仕上げの範囲にとどめ、耐震性能や断熱・防火性能に関わる仕様を下げる調整は避けるべきです。
安全性に関わる部分は法令水準を満たした仕様を維持したうえで、見た目や使い勝手に関わる部分で調整することが大切です。
同じ条件で3社以上に見積もりを取って比較する
費用を抑えるうえで欠かせないのが、複数の会社から見積もりを取って比較することです。
同じ延床面積・同じ間取り条件で依頼しないと坪単価や本体工事費の差が正しく比較できないため、依頼時の条件はできるだけそろえておく必要があります。
見積もりを比較する際は、本体工事費だけでなく附帯工事費や諸費用まで含めた総額で見る点も重要です。
会社によって坪単価に含まれる工事範囲が異なるため、表面上の金額だけで判断すると総額が想定より高くなる場合があります。
| 比較項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 本体工事費 | 延床面積・仕様条件をそろえた金額かどうか |
| 附帯工事費 | 地盤改良・外構・給排水引込が含まれているか |
| 設備仕様 | キッチン・浴室のグレードや個数の条件が同じか |
| 保証・アフター | 保証期間や点検内容に差がないか |
3社以上から見積もりを取ると、価格の相場観がつかみやすくなり、極端に高い・安い見積もりにも気づきやすくなります。
時間はかかりますが、資金計画を確実なものにするための工程として取り組む価値があります。
資金の負担割合は出資額どおりに登記して贈与税を避ける
二世帯住宅の建築資金は、出資した金額の割合どおりに持分登記をすることで、贈与税の対象になるリスクを避けられます。
親子で費用を出し合って家を建てる場合、登記の名義と実際にお金を出した割合がずれていると、税務上は贈与とみなされることがあるためです。
ここでは資金計画と登記をセットで考えるときのポイントを整理します。
親子で出した金額の比率に合わせて持分を登記する
たとえば総額4,000万円の家を親が1,600万円、子が2,400万円出し合って建てた場合、登記上の持分も親4割・子6割にそろえるのが基本です。
この比率をそろえずに、たとえば親がお金を多く出したのに登記は子の単独名義にしてしまうと、差額分が贈与として扱われる場合があります。
出資額と登記持分を一致させることが、余計な税負担を避ける基本の考え方です。
実際の建築では、親世帯・子世帯それぞれが預金や借入で資金を用意することが多く、途中で出資割合が変わることもあります。
設計変更で予算が増えたときや、どちらかが追加で資金を出したときは、その都度きちんと記録を残しておくことが大切です。
出資割合と登記名義がずれたまま手続きを終えてしまうのは、二世帯住宅で起こりやすいつまずきのひとつとされています。
契約前に司法書士や税理士に相談し、最終的な資金計画が固まった段階で持分割合を確認しておくと安心です。
親子リレーローン・ペアローンで借入額を確保する
二世帯住宅は建築費が大きくなりやすいため、親子リレーローンやペアローンを組んで必要な借入額を確保するケースが増えています。
親子リレーローンは親から子へ返済を引き継ぐ形式で、ペアローンは親子や夫婦がそれぞれ別のローンを組む形式です。
どちらも借入額を増やしやすい一方で、返済計画の立て方に違いがあります。
| 方式 | 特徴 | 登記への影響 |
|---|---|---|
| 親子リレーローン | 親から子へ返済を引き継ぐ一本のローン | 債務者に応じた持分設定が必要 |
| ペアローン | 親子・夫婦がそれぞれ別々に契約する | 各自の借入額に応じた持分にしやすい |
どちらの方式でも、借入額はそれぞれの返済負担につながるため、無理のない範囲で設定することが前提になります。
借入額を登記持分に反映させる際は、金融機関の担当者や司法書士に確認しながら進めると手続きがスムーズです。
住宅取得等資金の贈与の非課税枠を活用する
親から子への資金援助を考えている場合は、住宅取得等資金の贈与に関する非課税制度を確認しておく価値があります。
この制度は、一定の要件を満たす住宅取得のために親や祖父母から資金援助を受けた場合、贈与税が非課税になる枠を設けるものです。
非課税枠の金額や要件は住宅の性能や適用年度によって変わるため、ここでの金額の記載は控えます。
- 非課税枠は省エネ性能などの住宅の条件によって変わる場合がある
- 適用には申告手続きが必要になる場合がある
- 制度の内容は年度ごとに見直されることがある
制度を利用する際は、建築を依頼するハウスメーカーや工務店に加えて、税理士や税務署の窓口にも相談しておくと安心です。
最新の要件や非課税枠は国税庁の情報や税理士等で確認することを心がけましょう。
将来の相続や売却も想定して名義を決めておく
持分登記は建築時の資金負担だけでなく、将来の相続や売却の場面にも関わってきます。
共有名義のまま相続が発生すると、相続人の間で持分がさらに細かく分かれ、権利関係が複雑になることがあるためです。
将来的に売却や建て替えを考える可能性があるなら、早い段階で家族間の考え方をすり合わせておくと後々の手続きが進めやすくなります。
区分登記にするか共有登記にするかによっても、相続時の扱いや税金の計算方法が異なります。
どちらが向いているかは家族構成や資産状況によって変わるため、一律の答えはありません。
建築の計画段階から、資金負担・登記方法・将来の相続まで見通して家族で話し合っておくことが、後悔のない二世帯住宅づくりにつながります。
二世帯住宅に強いハウスメーカーは実績と規格プランで選ぶ

二世帯住宅づくりを依頼する会社選びは、実績数と得意なタイプが自社の希望と合っているかで決めると失敗しにくくなります。
二世帯住宅は間取りや設備配分の自由度が高い分、会社によって得意なタイプや価格帯に差が出やすい住宅です。
ここでは完全分離型の二世帯住宅を扱う代表的な会社として、トヨタホームとクレバリーホームの特徴を紹介します。
| 会社名 | 得意なタイプ | 特徴 | 本体価格の目安 |
|---|---|---|---|
| トヨタホーム | 完全分離型 | 玄関・水回りをすべて分けた1戸完結型の間取りを提案 | 本体工事費の目安:約4,000万〜約7,000万円前後 |
| クレバリーホーム | 完全分離型 | タイル外壁と低コストを両立したコスパ重視のプラン | 本体工事費ベースの坪単価:80万円程度 |
トヨタホーム
トヨタホームでは、完全分離型の二世帯住宅がおすすめのプランとして紹介されています。
玄関や水回りを含めて生活設備をすべて分ける間取りは、それぞれの世帯が1戸として完結した暮らしを送れる点が特徴です。
プライバシーを重視したい家族に向いている形式といえます。
設備をすべて重複させる分、費用は他のタイプより高くなりやすく、目安として本体工事費で約4,000万〜約7,000万円前後が示されています。
これに附帯工事費(約2割)や諸費用(約1割)が加わって総額が決まる点は、これまでのセクションで触れてきた考え方と同じです。
予算を検討する際は、この幅のどのあたりに自分たちの希望条件が収まるかを具体的に確認する作業が欠かせません。
完全分離型は間取りの自由度が高い一方で、希望をすべて詰め込むと想定より費用がふくらみやすい点には注意が必要です。
世帯ごとに広さやグレードの希望をすり合わせてから相談すると、見積もりの精度が上がりやすくなります。
気になる設備や間取りのバリエーションについては、公式サイトや展示場で確認するとイメージがつかみやすくなります。
クレバリーホーム
クレバリーホームは、二世帯住宅に強いハウスメーカーを紹介する記事の中で取り上げられている会社の一つです。
タイル外壁を標準的に採用しながら価格を抑えている点が特徴として知られており、外観の耐久性とコストのバランスを重視したい家族に向いています。
完全分離型のコストパフォーマンスに強みがあるとされ、坪単価は本体工事費ベースで80万円程度が目安として示されています。
地盤改良や外構などの附帯工事費(約2割)、登記費用などの諸費用(約1割)は別途見込む必要があり、総額は坪単価から求めた本体工事費の1.3倍前後になります。
坪単価だけを見て総予算を決めてしまうと、後から資金が不足する原因になりかねません。
タイル外壁は汚れが付きにくく、長期的なメンテナンス面でも選ばれやすい仕様です。
完全分離型で延床面積が大きくなりがちな二世帯住宅では、外壁の維持管理コストも見逃せないポイントになります。
規格化されたプランを活用することで、設計の自由度と価格のバランスを取りやすくなっている点も特徴の一つです。
依頼先を選ぶ際は、価格や仕様だけでなく二世帯住宅の施工実績や担当者の提案力も比較材料にすると、完成後の満足度につながりやすくなります。
同じ条件で複数社に相談し、間取り・設備・価格のバランスを見比べながら検討を進めていくとよいでしょう。
最新のプラン内容や価格帯については、各社の公式サイトや展示場で確認することをおすすめします。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 二世帯住宅の新築費用は総額で3,000万〜5,000万円台が中心的な目安とされている
- 費用差はおもに完全同居型・部分共有型・完全分離型というタイプの違いから生まれる
- 完全分離型は水回りや玄関を2セット持つため、同じ延床面積でも費用が高くなりやすい
- 坪数別では30坪台・40坪台・50坪台で総額の目安がおおよそ変わってくる
- 建築費は坪単価×延床面積で概算できるが、坪単価はあくまで本体工事費の目安にとどまる
- 本体工事費に加えて附帯工事費や諸費用も見込んで、総額で資金計画を立てる必要がある
- 補助金や税制優遇を活用すると、条件によって負担をやわらげられる場合がある
- 費用を抑える工夫は、共有範囲の見直しや建物形状の工夫から検討するのが基本になる
- 資金を出した割合に合わせて持分登記をしておくと、後々のトラブルを避けやすくなる
二世帯住宅の新築費用は、タイプや坪数、依頼先によって幅があり、金額だけを見ると迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
ただ、本体工事費と総額の違い、そして完全同居型・部分共有型・完全分離型それぞれの特徴を押さえておくと、自分たちの暮らし方に合ったプランが見えやすくなります。
費用を抑えたい場合も、耐震性能や断熱性能などの安全にかかわる部分を削るのではなく、共有範囲の見直しや建物形状の工夫、設備グレードの調整といった順番で考えることが、長く安心して住み続けるための土台になります。
補助金や税制優遇、資金の出し方や登記の方法についても、制度の内容は年度や自治体によって変わることがあるため、気になる制度が見つかったら、最新の公募要領や自治体の窓口、税理士などの専門家に確認しながら進めていくと安心です。
この記事で紹介した相場や考え方はあくまで目安ですが、家族の人数や希望する暮らし方を整理したうえで、複数のハウスメーカーや工務店から見積もりを取り、じっくり比較しながら二世帯住宅づくりを進めてみてください。

